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㈲とん太ファミリー

写真右から、溝口司さん、浦壁みちよさん、みちよさんの娘で溝口さんの妻の綾子さん

2024.1.16日々反省、日々向上しながら、より良いものへ。
いつも今が一番美味しい、無添加ウインナー

㈲とん太ファミリー

今日はとっても美味しそうなハム、ソーセージ、それから干し芋などがたくさん並んでいます。有限会社とん太ファミリーさんにお邪魔しております!
まだ午前中なのですが、何ともお腹が空いてきました…。

㈲とん太ファミリー
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今日は社長の溝口司さん、それからお義母様である浦壁みちよさんに色々とお話を伺いたいと思います。よろしくおねがいいたします。

溝口:よろしくお願いします。

浦壁:よろしくお願いします。

はじめは好みじゃなかったけれど

㈲とん太ファミリー

早速ですが、今イチ押しの商品をご紹介いただけますか?

溝口:イチ押しですか。うーん、本当は全部、と言いたいところですが、ウインナーです。

どんなところがイチ押しなんでしょう。

溝口:えー、うまいです。

…直球ですね(笑)もう少しかみ砕くと、どんなふうに美味しいですか。

溝口:私、元来ウインナー好きで。昔は量販品を沢山食べてました。

それはとん太ファミリーに関わられる前の話ですね?

溝口:はい。実は最初、とん太の無添加のウインナーを食べた時は「あんまり好みじゃないな」って思ったんです。ちょっとがっかりしたかも知れない。
けれど私がここに入社してから10年ぐらいの間、要所要所で食べていると美味しくなってきた。特に最近はこれまでの中で一番美味しい。
もちろん思い入れの問題かも知れないし、素材の味がわかるようになって来たのも要因の一つとも思うんですが、やっぱりお客様に支持されてる。1番売れています。

どんなところが特徴的で美味しいのですか?

溝口:そうですね、素材の話をすると、栃木県産「旨甘米豚(うまかんべぇぶた)」を使っている。
この豚がまず旨いんですけど、とん太は技術的にも無添加でやりながら、美味しいソーセージので大事な要素である“お肉とお肉の結着”がしっかりされてる。
直火スモークもほのかなフレーバーがあって。刺激臭ではなく、柔らかく芯のあるスモークの香りが特徴的ですね。

先日別の機会に食べさせていただいたソーセージの感想なんですが。私は皮の弾力があるなと感じていまして。まずそこが量販品のソーセージと違うなと。
それから食べた時の肉汁のはじけ具合は結構びっくりしまして。口の中でこんなに爆発するのか、と。食べてみての驚きは凄いものがありましたが、何か秘訣があるんでしょうか。

溝口:あれは極太のソーセージでしたよね。あれは添加物を加えたソーセージなんです。やっぱり太いから、その分肉汁(ドリップ)がたくさん含まれてるんですね。皮が厚いっていうところは、豚の腸を使っているからですね。普段弊社の店頭で販売しているウインナーは羊腸なんです。

豚の腸と羊の腸だと食感が違うのですね。

溝口:そうですね。生体を比べてみるとわかるけど、大きさがまず違いますよね。羊腸の方が細くて、薄い。豚はなんでも食べるんですよね。だから胃袋とか腸とかは結構強くて厚い。豚腸はそれで弾力が出ます。

結構好みが分かれそうですね。

溝口:羊腸の方がパリッと行きますから、好まれる方が多いでしょうね。

どうせ作るなら無添加でやってみよう

㈲とん太ファミリー
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浦壁さんに伺いたいのですが、とん太ファミリーさんは始められてどれくらいになるのでしょうか?

浦壁:そうですね。今35年ぐらいですね。昭和の後半からなので。うちの娘がまだ小さかったですから。

娘さんというと、溝口社長の奥様の事ですね。

浦壁: そうです。娘が生まれて間もなくですね。
それまでは、養豚業を専門にやってたんですよ。

最初は養豚業だったんですね。

浦壁:この辺りでは割と大きくやっていました。近代化の為の設備も入れて、公害対策等も行っていました。
でも、皆さんに迷惑をかけてしまう出来事があって、移行しました。

養豚業から加工の専門に事業転換されたと。

浦壁: 最初は養豚農家の方々と「自分たちの育てた豚を食べよう」というのが発端だったんですけどね。事業と言うより、最初は飲み会っていうか。コミュニケーションを高めようっていう様な形で。
でもそれが、いろんなことがあって、1人抜け、2人抜けて、最終的には2軒になって。

この地域で加工もする業者さんが2軒になってしまったと。

浦壁: そうですね。それで、どうせ作るなら無添加でやってみよう、自分たちが食べるだけでなく、子供たちに食べさせたいっていうのを改めて目標にしてやってみたんです。
それで、日本で初めてウインナーソーセージを作られた先生を東京の方からお呼びして。

え、日本で初めてのウインナーソーセージの先生ですか?

浦壁: そうです。大木市蔵さんという先生のね。その方は明治から昭和初期の方なので、私達が教わったのはそこの2代目かな。

凄い。日本にソーセージを広めた第一人者の直系から技術を学ばれたんですね。

浦壁: はい。月1回ぐらいで教わったと思います。
私たちは無添加を希望したんですけど、その先生は無添加っていうのはあんまり賛成しなかったんですね。

正しく添加物を入れて作るものだ、ということでしょうか。

浦壁: そうです。それが加工の王道だと言われたんです。
生肉でしたら日持ちしないじゃないですか。長持ちさせるためには、適した添加物を入れて加工をして食べるものだ、というのが最初の先生の御意見だったんですけど…。
でも、ぜひ添加物を入れないで作ってほしいと私たちが強くお願いしたものですから、そういうやり方を教わりました。

とん太ファミリーさんは出来る限り添加物が少ないような製法を教わって、その技術を育ててきたという事ですね。

浦壁: そうですね、ですから最初はほんとに反対されたんですよ。賛成してくれた方は、益子町の主婦の方ですね。で、その方たちは芸術家さんが多かった。

益子は陶芸の町ですからね。

浦壁: はい。その方々の後押しがすごかったですね。
「添加物の入っているものは、東京の方でもたくさん食べられる。 ここで作ったものは誰が作っているかも分かるし、とても良い」って。そう言って自分たちにも分けてほしいって言うんです。最初は、私たち仲間内だけでワイワイガヤガヤやっていたのが、そうこうしてるうちに、話題になりまして。
で、私たちにも譲ってほしいっていうことで、農協さんが専用の建物を作ってくれたんですよ。
とは言え、やはり本業が養豚ですとそうそう広げる事も難しくて。それで、何件かあったこの加工のお仕事は、うちが専門で引き受ける事になったんです。

なるほど。なんだか今のお仕事の起こりからずっと流れている想いがありますね。
今も添加物は必要最低限でやっていらっしゃるのでしょうか。

浦壁: 最低限のものも作ってますし、完全に入ってないのも作ってますよ。

とにかく何かのご意見が聞けるっていうのは有難いし楽しい

とん太ファミリーさんは現在、催事の出店に関しても積極的に行っている印象を受けています。先日も全国商工会連合会主催のニッポン全国物産展にご出店いただきました。他にも色々な所に出店されていると思うんですけれども、この辺りのお話を伺ってもよろしいでしょうか。

溝口: まあ、現実的なことを言えば売上の為になっちゃいますけど(笑)。
ただやはりその場で 調理したものを食べていただけるっていう機会、直接触れ合ってコミュニケーションが取れる機会っていうのは、そう多くありませんから。

なるほど。お客様の声とか、食べている雰囲気を直接見られますものね。

溝口: ですね。そういう事はやっぱり大事だなって思いますんで、これからも続けていきたいと思っています。

お客様と直接コミュニケーションを取れると、どんなところが楽しいですか。

溝口: やっぱり、評価を得られた時でしょうか。美味しいっていうお声をいただいた時は嬉しいですよね。その日のうちに2回も3回もいらっしゃる方もいたり、また後日リピートしてくださったり。
あとは、どこどこから情報を聞きつけて買いに来ましたなんていう方もいらっしゃいますし、 知らずに買って何の気なしに食べたら予想以上だったっていう声は嬉しいですよね。
軽く世間話したりするのもね。とにかく何かのご意見が聞けるっていうのは有難いし楽しいですね。また頑張ろうっていう気になりますね。

日々反省、日々向上しながら

これからもお仕事を続けていくと思いますが、お客様に向けて一言メッセージをお願いします。

溝口: そうですねー。え~と…。品質においても接客サービスにおいても、それから従業員にも、取引先にも、みんなに喜んでもらえるように、信頼してもらえるような、そんなとん太ファミリーにしたいなと思います。
…ん~、ちょっとズレちゃったかな。メッセージって難しいですね。
え~と、ご信頼いただけるように、日々反省、日々向上しながら、より良いものをお届けできるように精進…っていうと硬いなあ。とにかく頑張っていきたいと思います。

とても素敵なメッセージです。ありがとうございます。浦壁さんにもお聞きしたいと思います。

浦壁: 長い間かけて私たちが築き上げたこのお店を、子供たちが継いでくれることが、何よりも 嬉しいですね。それから、私たちが始めた頃、同じ年代の方がすごく買い物に来てくれたんです。そして、その方々のお子さんと孫さんがまた来ていただけているんですよ。
それがほんとに嬉しいですね。感謝してます。

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今日もとても素晴らしい時間になりました。本当にありがとうございました。

溝口 / 浦壁: ありがとうございました。

  • 聴き手:加藤 拓 益子町商工会経営指導員